太平洋を北上してきた黒潮を、迎え撃つように突き出した足摺半島。海辺から急角度で伸び上がる地形に沿って、四方からの湿った潮風が駆け上ると、見る見る山上に雲が湧く。

波打ち際にさんさんと日が照っているのに、高さ400mほどの山頂は雨の中、ということもしばしばある。  濃密な亜熱帯の照葉樹林に覆われた山が、この雨水を潤沢に蓄える。やがて地下でろ過された水は、半島のあちこちの沢から湧き出す。

土佐清水という地名も、このあたりの海で漁をしていた昔の漁師たちが、貴重な飲み水の補給ポイントとしていた湧き水から付けられたほどだ。

この土地の人々は、その水で味噌汁を作り、コーヒーを淹れる。どこのホテルでも民家でもよい。コップに一杯の水を分けてもらう。口に含めば、全てが判る。

それは間違いなく、日本で最初に凝縮され純化された、南風のエッセンスだ。


     
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